木は昔から様々なものに利用されています。
日本の住宅にも古くから木材が使用されてきました。
木組みと聞くと宮大工を想像される方も多いかと思いますが、現代の住宅でも木を組む工法は広く採用されています。
近年、建設業でも機械化が進み、効率を求められる時代になりました。
特に都市部では、大工の木材を加工する技術が失われつつあることは事実です。
しかし、大工の技術や才能には個人差が大きく、現代でも木材を扱うことに慣れている大工も少なからず存在します。
木には特有の美しさや温かみがあり、住宅に取り入れたいと考えている方もいらっしゃると思います。
このページでは、木材を住宅に取り入れた事例を、私が今まで作ってきた物の中から概算費用や注意点、材料の特徴などをご紹介します。
目次
杉材の階段
仕上がり
ガレージに降りるための木製階段
計画段階で模型を作成しイメージを共有
加工・組み立ての様子
仕上がり
木製の物干し場
仕上がり
増築部分の勾配天井や梁
仕上がり
最後に
注意点
杉材の階段
構造材から仕上げ材まで全て杉材で作った新築の階段部分です。
日本の材料である杉材は、白と赤の色味が美しく、とても柔らかいことが特徴で、
成長が早いため、値段も安い場合が多く、古くから建材として住宅に広く使用されています。
逆に柔らかすぎるために、仕上げ加工が難しく熟練の技術が必要になる樹種でもあり、仕上げの使用によっては加工費が高くなります。
費用は、新築に取り付ける場合で90万円~になります。
※15mm大入れ、無塗装かんな仕上げ
仕上がり
杉材は暖色なので、内装に使用すると暖かい仕上がりになります。
ガレージに降りるための木製階段
ホワイトウッドの集成材(現在木造住宅で最も多く使用されている材料)で作った木製階段です。
掃き出し窓があるリビングからガレージを一体的に利用するために、段差(約90cm)を安全に解消できる階段の作製を依頼されました。
費用は35万円~
※ホワイトウッド無塗装サンダー仕上げの場合
計画段階で模型を作成しイメージを共有
物づくりの打ち合わせには設計図が必要です。
しかし、平面図や立面図ではイメージすることが難しく、この階段の打ち合わせ時も、お客さんと元請会社でイメージを伝えることに苦労していました。
そこで、僕が考えた形を模型にして提案したところ、お客さんが気に入り、依頼して頂きました。
加工・組み立ての様子
加工中の写真です。
寸法を決める→部材加工→墨をつける(材料に線を引く)→仕口を加工する(刻む)→仕上げる(サンダー仕上げ)→組み立て。
全て手作りです。
仕上がり
模型通りに仕上がりました。
お客さんにも仕上がりを大変喜んでいただきました。
木製の物干し場
2階のお部屋から使う、屋根付きの物干し場を木製で作りました。
屋根部分は、ポリカ波板仕上げで下地は杉材を使用。
雨に濡れる部分は、雨に強い檜材で作製
費用は40万円~
※無塗装サンダー仕上げ
仕上がり
雨に濡れる部分には檜材がおススメです。
水に強く白アリもつきにくい樹種です
とは言え、外部に使用する場合には屋根を設けて直接濡らさない方が耐用年数が長くなります。
また、日焼けによる黒ずみを抑えたい方は塗装することをお勧めします。
増築部分の勾配天井や梁
リフォームでの構造改修、増築などは現代でも木材を手で加工し組み上げます。
構造材を化粧で見せることで空間が広がります。
費用は仕上げ、加工、塗装を行って5万円~
※内装のオプション工事になります。
仕上がり
既存の住宅は天井が低いことが多く、内装リフォームで高い天井高を確保する場合に既存の梁を化粧で見せる工事などもあります。
住宅に木組みを取り入れるときの注意点
現代の木造住宅は以前と比べ、値段を抑えつつ性能がかなり向上しています。
そんな現代の建築に無垢材を取り入れる場合、
値段が高いのにもかかわらず、現代の住宅と比べ、性能が低くなるリスクがあります。
※無垢材を売りにする会社には、古い工法にこだわりすぎるあまり、現代建築工法の知識が全く無い状態にある会社もあります。
木組みを取り入れる場合には、施工会社の技術・知識を考慮する必要があり、
必要な箇所に絞って部分的に取り入れるなど、値段と性能のバランスを取ることがおススメです。
最後に
いかがでしたか?
木材の美しさや暖かさを住宅に取り入れることは難しいことではありません。
ちゃんと計画を行えば、市販のものより便利になるのがオーダーメイド。
ぜひ参考にしてみてください。